第1週 Studioを動かす:インストールから、最初のプロセスまで
12週のUiPath開発者育成計画の第1週。Community版Studioのインストール、UiPath製品の全体像、変数・式(VB.NET)・制御フロー・ファイル操作を学び、ファイルの仕分けプロセスを自分で作る。
この記事の目次
第1週 Studioを動かす:インストールから、最初のプロセスまで
12週の育成計画の第1週。この週のゴールは、Studioを開き、変数と制御フローを使った小さなプロセスを、ひとりで作って実行できるようになることである。
対象は、技術経験がなく、UiPathを初めて触る人である。全体の計画は「ゼロから12週でUiPath開発者になる」を参照する。
注意: 画面、アクティビティ名、Academyのコース名は、UiPathの更新で変わる。手順通りに見えない場合は、公式ドキュメントを基準にする。
1. この週のねらい
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| テーマ | Studioを動かす |
| 学ぶこと | Community版のインストール、UiPath製品の全体像、変数・式(VB.NET)・制御フロー、ファイル操作 |
| ハンズオン課題 | フォルダ内のファイルを、拡張子ごとに別フォルダへ仕分けるプロセス |
| 完了条件 | 仕分けのプロセスを、何も見ずに作り直して実行できる |
| 決めること | 顧客資料の取り扱いルール(AIに渡してよい範囲、マスクの手順)をmentorと決める |
この週の進め方は3つだけ。
- 手が先:新しい概念は、先に自分で作る。Claude Codeに聞くのはその後にする
- 毎日説明する:1日の終わりに、作ったものを口頭で説明する(mentorに、または自分に)
- 最後に作り直す:週の終わりに、ハンズオン課題を最初から作り直す
2. 事前準備
2.1 必要なもの
- Windows PC(Studio DesktopはWindowsのみ。Macでは動かない)
- メールアドレス(UiPathとAnthropicのアカウント登録に使う)
- Node.js(Claude Codeのインストールに使う)
- Claude Codeを使うためのAnthropicのアカウント
2.2 ライセンスを確認する
この週は、無料のCommunity版を使う。Community版は、個人・学生・小規模事業者向けとされている。客先案件で使う場合は、ライセンスの条件を別途確認する。
3. 週の流れ
| 日 | UiPath | IT基礎 | Coding Agent |
|---|---|---|---|
| 1 | インストール、製品の全体像、最初のプロセス | OS、ファイルシステム | Claude Codeのインストール、機密ルールの確認 |
| 2 | 変数とデータ型、式(VB.NET) | パス(絶対パスと相対パス) | 答えではなくヒントをもらう頼み方 |
| 3 | 条件分岐(If、Switch) | コマンドライン(cd、dir) | エラーを自分で読んでから聞く |
| 4 | 繰り返し(For Each、While)、ファイル操作 | 拡張子、環境変数 | 作ったものの説明を、AIに聞いてもらう |
| 5 | ハンズオン課題の仕上げ、振り返り | 週の整理 | 使った指示文の記録 |
5日間の流れ。
時間の目安は、UiPath約31時間、IT基礎約4時間、振り返り・mentor約5時間。Academyの受講は、UiPathの時間に含む。
4. UiPath Line
4.1 学習点
- 環境:Studioのインストール、Automation Cloudのアカウント作成、Studioからの接続
- 画面:デザイナー、アクティビティ、プロパティ、変数、アウトプットの各パネル
- プロジェクト:新規プロセスの作成、実行とデバッグ実行、SequenceとFlowchartの違い
- 基本アクティビティ:Assign、Message Box、Log Message
- 変数とデータ型:String、Int32、Boolean、DateTime、Array、List、Dictionary、変数のスコープ
- 式(VB.NET):Assignの右辺の書き方、文字列の連結、型の変換(
CStr、CInt、.ToString)。プロジェクトの式言語は作成時に決まり、あとから変えられない(初期値はVB.NET) - 制御フロー:If、Switch、For Each、While、Do While
- ファイル操作の基礎:Path Exists、Create Directory、Copy File、Move File、For Each File in Folder
4.2 Academyで受けるコース
日本語プラン「RPA デベロッパー 基礎」(全21コース、40時間33分)から、次の5コースを週のあいだに受ける。合計は約6時間25分。
| コース | 時間 |
|---|---|
| UiPath Platform の紹介 | 45分 |
| Studio による初めてのプロセス開発 | 1時間25分 |
| RPA 開発者の一日 | 35分 |
| Studio での変数および引数 | 1時間35分 |
| Studio での制御フロー | 2時間5分 |
2つのコースには、今のStudioの画面に近い日本語の新しい版がある。修了証が要らなければ、新しい版を優先する。
| 旧版 | 新しい版 |
|---|---|
| Studio による初めてのプロセス開発 | UiPath を使用した最初のオートメーション開発(2024.10 バージョン)(1時間) |
| Studio での変数および引数 | Studio での変数、定数、引数(1時間30分) |
Academyは「講義」で、手を動かすのはハンズオン課題である。受講した日に、同じ機能を自分で使い直す。
ファイル操作の補足として、Studio でのファイル、フォルダー操作の自動化 (v2021.10)(1時間5分)も、ハンズオン課題の前に受けておくとよい。
コースの検索は、コースの一覧で、言語のフィルターを日本語にして行う。
4.3 Community版をインストールする
日1に行う。Community版は無料で、使えるのは最新版のみ。インストール後は自動更新される。
1. アカウントを作る
UiPath Developers のページから、無料アカウントを登録する(クレジットカードは不要)。届いたメールで認証し、Automation Cloud(cloud.uipath.com)にサインインする。初回は、組織名などの入力を求められるので、画面の指示に従う。
2. インストーラーをダウンロードする
Automation Cloudにサインイン
→ ヘルプ(?)メニュー
→ Downloads(またはResource Center)
→ UiPathStudioCommunity.msi をダウンロード
ダウンロードが止まる、または失敗するときは、ChromeかEdgeで試す。
3. インストールする
UiPathStudioCommunity.msi をダブルクリック
→ ライセンス契約に同意
→ Quick を選んで Install
→ 完了したら Launch UiPath Studio
Quickは、ユーザー単位のインストールで、管理者権限が要らない(インストール先は %LocalAppData%\Programs)。
4. サインインして、ライセンスを有効にする
Studioが起動したら、Automation Cloudのアカウントでサインインする(ブラウザが開く)。Community版のライセンスで有効化される。
5. 動作を確認する
- 新規プロセスを作り、Message Boxで「こんにちは」を表示して実行する
- Studioの画面右上のアカウント表示で、接続先の組織とテナントを確認する。表示の場所は、バージョンで変わる場合がある
Studio Webについて: ブラウザで動くStudio Webもある。インストールは要らず、Macでも使える。ただし画面はStudio Desktopと別物である。この計画では、Studio Desktopを使う。
参照:UiPath Developers、Studio - Install Studio(公式ドキュメント)
4.4 UiPath製品の全体像を知る
インストールのあとに、30分ほどで行う。目的は、「今から学ぶStudioが、UiPath全体のどこにあるか」を知ることである。Academyの UiPath Platform の紹介(45分)を先に受けておくと、話が早い。
UiPathの公式サイトでは、製品を3つの層で説明している。
| 層 | 役割 | 主な製品・機能 |
|---|---|---|
| Orchestration(調整) | AI、人、システムをまたいで仕事を調整する | Maestro(Orchestrate、BPMN、Flow、Case)、Process Intelligence |
| Execution(実行) | 実際に仕事をこなす | Agents、RPA、API automation、IDP(IXP)、HITL |
| Governance(統制) | 信頼と記録を担保する | Observability、Agent registry、Compliance & audit、Data Fabric |
公式サイトの説明は、「エージェントが考え、ロボットが動き、判断が要る場面では人が入る」である。
12週で中心になるのは、Execution層の RPA(決まった手順を、確実に実行する自動化)である。
| 製品 | 一言で言うと | この計画での扱い |
|---|---|---|
| Studio(Desktop) | 自動化を作る開発環境。Windows用 | 主役。第1週から使う |
| Robot | 作った自動化を実行する。人の画面で動くAttendedと、無人で動くUnattendedがある | 第8–9週で使う |
| Orchestrator | Robotの配備、実行の起動、監視を一か所で管理する。QueueやAssetもここ | 第8–9週で学ぶ |
| Automation Cloud | UiPathのクラウド。Orchestratorなどの入り口 | 第1週でアカウントを作る |
| Studio Web | ブラウザで動く開発環境。エージェントやAPI中心の自動化向け | 知っておく |
| UiPath CLI/UiPath for Coding Agents | AIコーディングエージェントと一緒に開発するためのツール | 第5週から段階的に使い、第10週で本格的に学ぶ |
ほかの製品(Maestro、Agents、IXP、Integration Service、Apps、Autopilot、Test Cloud)は、名前と役割を知っておけばよい。
RPAの開発は、次の流れをぐるぐる回す。第1〜7週は「作る」を中心に学び、第8週から「発行する」「動かす」「見る」を学ぶ。
講義のあとに、本人に次の3つを聞く。
- 今日インストールしたStudioは、この図のどこか
- Robotは、Studioと別のものか。なぜ分かれているのか
- Orchestratorの役割を、自分の言葉で説明できるか
4.5 日別の内容
日1:環境構築と最初のプロセス
- Academy:UiPath Platform の紹介、Studio による初めてのプロセス開発(新しい版は UiPath を使用した最初のオートメーション開発(2024.10 バージョン))、RPA 開発者の一日
- Community版のインストール(4.3)と、製品の全体像(4.4)
- 画面の各パネルの役割を確認する
- 最初のプロセス:Message Boxで「こんにちは」を表示して実行する
- 実行とデバッグ実行の違いを試す
日2:変数とデータ型、式(VB.NET)
- Academy:Studio での変数および引数(新しい版は Studio での変数、定数、引数)
- 変数の作り方、型の選び方、スコープ
- Assignで値を入れ、Log Messageで確認する
- 練習:名前と年齢を変数に入れ、「〇〇さんは△△歳です」と表示する
' Assignの右辺の例(VB.NET)
message = userName + "さんは" + age.ToString + "歳です"
- 型が違うとエラーになる場面を、わざと起こして見る(例:Int32の変数に
"20"を入れる)。CInt("20")で直す
日3:条件分岐
- Academy:Studio での制御フロー(日3〜日4で受ける)
- If(条件と、真・偽の分岐)、Switch
- 練習:数値を入力して、大きさによって別のメッセージを出す
制御フローは、やりたいことで選ぶ。
日4:繰り返しとファイル操作
- Academy:Studio でのファイル、フォルダー操作の自動化 (v2021.10)
- For Each、While、Do Whileの使い分け
- Path Exists、Create Directory、Copy File、Move File、For Each File in Folder
- 練習:フォルダ内のファイル名を、すべてLog Messageで出力する
日5:ハンズオン課題の仕上げ
- 4.6の課題を、何も見ずに作り直す
- 週の振り返り(8.2)
4.6 ハンズオン課題:ファイルの仕分け
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入力 | 拡張子の違うダミーファイルを入れた練習用フォルダ |
| 出力 | 拡張子ごとのフォルダに仕分けられたファイル、処理件数のログ |
| 完了条件 | 初めて使うフォルダでも、エラーなく最後まで動く |
準備
練習用のフォルダを作り、拡張子の違うダミーファイルを入れる(例:txt、pdf、xlsx、jpg)。実在の顧客ファイルは使わない。
実行前と実行後のイメージ。
処理の流れ
式の例(VB.NET)
For Each File in Folderが1件ずつ渡す変数の名前は、アクティビティの既定の名前に合わせて読み替える(ここでは CurrentFile)。
' 拡張子を取り出す(例:".txt" → "txt")
ext = System.IO.Path.GetExtension(CurrentFile.FullName).TrimStart("."c).ToLower
' 保存先フォルダのパス
destFolder = System.IO.Path.Combine(rootFolder, ext)
' 移動先のファイルパス(Move Fileの移動先に使う)
destPath = System.IO.Path.Combine(destFolder, CurrentFile.Name)
' 件数を数える
count = count + 1
発展(余裕があれば)
- 拡張子のないファイルを、「その他」フォルダへ入れる(
extが空文字のとき) - 同じ名前のファイルが保存先にあるときの扱いを決める
自己チェック
- 初めて実行するフォルダでも、エラーなく最後まで動く
- 処理件数が、ログで確認できる
- 変数の名前を見て、何が入っているか分かる
- 各アクティビティの役割を、自分の言葉で説明できる
5. IT基礎 Line
この週は、ファイルとパスに関わる基礎を学ぶ。単独の座学にせず、ハンズオン課題で使う場面と結びつける。
| 学習点 | 内容 | 対応するRPAの場面 |
|---|---|---|
| OS | プロセス、ユーザー | Studioやブラウザが、どのユーザーで動いているか |
| ファイルシステム | 絶対パスと相対パス、拡張子、UNCパス(\\サーバー名\共有名) | Studioからファイルを指定するとき。仕分けで拡張子を取り出すとき |
| コマンドライン | cd、dir、copy | ファイルの場所を確認し、プロセスの結果を目で確かめるとき |
| 環境変数 | %USERPROFILE%、%LocalAppData% など | ユーザーごとに違うフォルダ(デスクトップなど)を指定するとき |
絶対パスは、ドライブから目的の場所までを全部書く。相対パスは、今いる場所からの道のりだけを書く。
- 絶対パスの例:
C:\Users\ユーザー名\Desktop\練習フォルダ\txt - 相対パスの例(練習フォルダにいるとき):
.\txt
練習として、ハンズオン課題を実行したあと、コマンドラインで仕分け結果を確認する。
cd $env:USERPROFILE\Desktop\練習フォルダ
dir
dir .\txt
6. Coding Agent Line
6.1 この週の役割:コーチ
- 本人:先に手を動かす
- AI:解説に徹する。答えを出さず、ヒントを出す
12週でのAIの役割は、コーチ → レビュアー → ペア作業と上がる。第1週は、いちばん左の段階である。
6.2 Claude Codeを入れる
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
claude --version
起動したら、最初に「日本語で答えてください」と伝える。毎回伝えるのが面倒なら、ユーザー設定のファイル(%USERPROFILE%\.claude\CLAUDE.md)に、「日本語で回答する」と1行書いておく。
6.3 頼み方の例
答えを直接もらわず、ヒントをもらう。
答えは言わずに、次に確認すべき点だけ教えてください。
エラーは、先に自分で読み、自分の理解を書いてから聞く。
このエラーメッセージを、初心者向けに説明してください。
先に自分の理解を書きます:
(ここに自分の理解を書く)
エラー内容:
(ここにエラーを貼り付ける)
6.4 顧客資料の取り扱いルールを決める
mentorと、次の3つを分けて決める。決めた内容は、第2週以降もずっと使う。
資料をAIに渡す前は、次の順で判断する。区分の中身は、mentorと決めたルールに従う。
| 区分 | 内容(mentorと記入) | 決めること |
|---|---|---|
| AIに渡してよいもの | ||
| マスクすれば渡してよいもの | マスクの手順 | |
| 渡してはいけないもの |
あわせて、AIをつなぐ先も決めておく。学習中は、個人のCommunityテナントだけを使い、客先のテナントにはつながない。
7. 困ったら
| 症状 | 確認すること |
|---|---|
| インストーラーが見つからない | Automation Cloudにサインインしているか。ヘルプ(?)メニューのDownloads、Resource Centerを探す |
| ダウンロードが止まる | ChromeまたはEdgeで試す。社内ネットワークの制限がないか |
| インストールできない | Quickを選んでいるか。管理者権限が要る設定になっていないか |
| サインインできない | アカウントのメール認証が済んでいるか。ブラウザで cloud.uipath.com に入れるか |
| 画面が教材と違う | Community版は最新版のみ。教材の画面は古い場合がある。公式ドキュメントを基準にする |
| Assignで型のエラーが出る | 左辺の変数の型と、右辺の値の型が合っているか。CStr、CInt、.ToString で変換する |
npm が見つからない | Node.jsが入っているか。インストール後に、新しいPowerShellを開き直す |
エラーが出たら、まず自分でエラー文を読む。そのうえで、エラー文、実行した操作、直前に変えたことをまとめて、Claude Codeに聞く(6.3)。
8. まとめ・次の一歩
8.1 到達目標チェック
- Community版のStudioがインストールされ、サインインできている
- Studio、Robot、Orchestratorの役割を、自分の言葉で説明できる
- ひとりでStudioを開き、新しいプロセスを作って実行できる
- 変数とデータ型、VB.NETの式の基本を、自分の言葉で説明できる
- If、For Eachを使ったプロセスを作れる
- ファイルの仕分けのプロセスを、何も見ずに作り直せる
- 顧客資料の取り扱いルールが決まっている
8.2 振り返り
- 今週いちばん詰まったところは何か。どう解決したか
- Claude Codeに聞いた内容のうち、聞かなくても分かったものはあったか
- 来週(データを扱う)の前に、復習したいところはあるか
この週の核心は、「動くものを、自分の手で1つ作りきる」ことにある。仕分けのプロセスで使った変数、式、For Each、ファイル操作は、第2週以降のExcelやDataTableの処理でも、そのまま土台になる。
8.3 参考リンク
8.4 次週
第2週:データを扱う(Excel、DataTable、CSV、文字列)。
Read next
